evaṃ mayā śrutam

主にインド学に関して学んだことや雑記をまとめていきます。

[雑記]文献を読む時に使っているものなど

長い間放置してしまっていたので、掘り起こしたついでにMarkdown記法の練習がてら雑多な感じで一つ書いてみることにした。

全般的によく使っているもの(一部)

著者名の表記などは適当。

文法書など

  • Whitney, William "Sanskrit Grammar"
    • サンスクリット文法の決定版。記述的に体系化されていて胡乱な文言も少ないが、めちゃくちゃ詳細なので独学には全く向かない。
  • Toshifumi, Goto "Old Indo-Aryan Morphology and Its Indo-Iranian Background"
    • 形態論。分厚く充実した内容に反して冊子自体は薄いのでWhitneyを開くのが面倒な時によく使う。これも独学には完全に不向き。
  • Speijer, Jakob Samuel "Sanskrit Syntax"
    • 統語論。Altindische Syntaxを持っていないのでこれを使っている。

辞書など

  • Williams, Monier "Sanskrit-English Dictionary"
    • 大きくてつよい。語彙数などを考慮すると、おそらく最もスタンダードな辞典と思われる。オンライン版があるので、PCで作業しているときはそちらをよく使う。インド版は大きくて重くて印刷が荒くて脆い。
  • von Böhtlingk, Otto. und von Roth, Rudolph "Sanskrit-Wörterbuch"
    • 最強。7巻本には用例が挙げられているというところが特に強い。縮約版は用例が省かれているがそれでもモニエルよりは強い。ただしドイツ語で書かれているので、ドイツ語を見ただけでやる気が無くなる体質の方にはオススメできない。これもオンライン版がある。フォントにこだわってるせいでやたらと表示が遅い。

使ったり使わなかったりするもの(一部)

使い所が限られていたり、単純に使う機会の少ないが場合によっては有用なもの。

  • Gonda, Jan "Kurze Elementary-Grammatik der Sanskrit-Sprache."
    • 初等文法。いわゆるゴンダ(※実際に使うのは和訳版)。初等文法なので当然ながら今となっては使う機会がほぼない。たまにデーヴァナーガリー文字が分からなくなった時に確認するなど。最初はこれでサンスクリットを習った。
  • Tubb, Gary A. "Scholastic Sanskrit: A Manual for Students"
    • 論書での定形表現や不変化詞の用法などがまとめられている。いわゆるあんちょこ。論書をよく読むので使用頻度はそれなりに高い。
  • Macdonell, Arthur "Vedic Grammar for Students"
    • ヴェーダ文献を読む場合に使う。for Studentsじゃない版もある。for Studentsはポケットサイズなので持ち運びやすい。動詞語幹の一覧などがあってあんちょことして使える。サイズが小さいせいで視認性が悪い。
  • Whitney, William "The roots, verb-forms, and primary derivatives of the Sanskrit language"
    • 通称Roots-verb。ところどころ信用できないがあんちょことしては使える。しかし基本的には上のMacdonellでも代用できる範囲でしか使っていないので出番があまりない。
  • Abhyankar, Vasudev "A Dictionary of Sanskrit Grammar"
    • 伝統文法学の用語を集めた辞典。註釈書の著者がかなり衒学的な態度だった場合によく使う。そうでない場合でも基礎知識として必要になることがあるので論書を読むなら必携。
  • Olivelle, Patrick "A Sanskrit Dictionary of Law and Statecraft"
    • 法典関係の辞典。ダルマ文献だけでなくアルタシャーストラからも拾っていたりする。結構くわしく用例が挙がっている。デリーで出版されているが印刷が整っている。意外にコンパクトで、紙が軽い。Bibliographyの情報もそれなりに使える。

使ったことがないもの

参考までに、自分の学習、研究環境では必要が無いもの。これは面倒なので略称などで。

  • 辻文法
    • うちでは使わなかった。初等文法には重すぎるし、中級以降はWhitneyで事足りてしまうし、今では他に色々使うので必要がない。そもそも買っていない。
  • 実習梵語
    • そもそも手に入らない。読みづらいのと、辻文法と同じ理由で必要ない。一方で、同著者の梵英大辞典は仏典の漢訳語を調べるのに有用なので仏典を読むときに使うこともある。

その他

  • Apteの辞書
    • 巻末の付録の部分だけ欲しい。

総括

悉に挙げていくとキリがないので本当に基本的なものを並べるにとどめた。独習者向けの目新しい情報はそんなに無いかもしれないが、参考になれば幸いに思う。

以上。